先日、寒い日、仕事の帰り道に手袋を片方なくしてしまいました。
歩き始めてすぐ、片方の手袋を脱いでスマートフォンで
電話をかけた時に、落としてしまったのでしょう。
このように私はしょっちゅう、傘やら帽子やら手袋を失くしています。
生来の粗忽者なのでした。
もう○0年(うんじゅうねん)も前のことです。
大学生だった私はやはり手袋を落としました。
ある冬の日、私はアルバイトに行くために大学のある街の駅から普通電車に乗りました。
乗り換えに都合のよいように後ろから4両目の一番前のドアに乗りました。
6時間後くらいに、帰路についた私が行きとは逆方向に向かう普通電車に乗り換えた時です。
最寄りの駅でちょうど階段の前で降りられるよう前から4両目の一番後ろのドアから乗り込むと
そこにポツンと手袋が片方落ちていました。
色といい、大きさといい、編み模様といい、私の手袋によく似ています。
「誰が落としたのかしら?」と暢気に考えていましたが、
はっと、カバンやコートの中を探すと私の手袋はあるにはありましたが、
左手の手袋片方しかありません。
落ちていた手袋を拾ってよくよく見ると、なんとそれは私の右手の手袋でした。
私は行きと帰りと奇しくも同一の電車の同一の車両、同一のドアの場所に乗っていたのです。
私の右手の手袋は6時間のあいだ、誰に拾われることもなく、
私と片割れの手袋を待っていてくれたのでした。
おみくじ風に言いますと、
「失せ物 思わぬところから出る」といったところでしょうか?
最近失くした手袋にも不思議な幸運が訪れますように。