タイトル:平安ガールフレンズ
著者:酒井順子
請求記号:910.2/サ
資料コード:612082810
学生時代、初めて授業で『枕草子』を習った時、
とても胸が高鳴ったことを覚えています。
以降、平安女流文学に触れる機会は何度かあり、その都度妙に惹かれ、
それなりに学びもしたのですが、修めたという気にはちっともなれぬまま、
今に至っています。
こちらの本、タイトルを見て手に取ったのですが、
まず冒頭で「古典文学の作者に対して、女性の場合はしばしば
「友達になれそう」という親近感を抱くもの」という表現が出てきます。
そうか!これだ!と思いました。
ここでは、清少納言、紫式部、藤原道綱母、菅原孝標女、和泉式部の
五名が紹介されています。それぞれの著作を挙げつつ、
こんな女性でしたと酒井順子さんが語っているのですが、これが面白い!
平安時代と現代が繋がっている感覚が味わえます。時代が変わっても、
人間根本的には変わらないものなのでしょう。
今では、漫画や映像作品、児童向けのものなど、
古典への入り口はいろいろと用意されていますが、
こちらの本では、まず作者から入れます。
酒井順子さんの言葉で、当時のことを踏まえつつ、
彼女たちがどんな立場にあったのか、残された著作から
どんな人柄が見えてくるのか、親しみやすく書かれています。
すると、堅苦しい印象だった彼女たちが、一気に身近に。
自分は学ぶものとして、古典に当たっていたことに気付かされました。
「勉強」からではなく、「友達」になってから知ってゆけば面白い。
これから平安女流文学に触れたい方に、ぜひおすすめの一冊です。
もとの作品を知らなくても、楽しめます。