この10年間で、毎年ひそかに調べている事がある。
『暑さ寒さも彼岸まで』の真偽である。
それは10年前に入院していた時のこと。
秋のお彼岸をはさむ形で1週間を病院で過ごしていた。
やれやれ無事に退院できたと喜ぶのも束の間、
外はすっかり秋の景色に変わっていた。
風は涼しくて心地よく、そんな風の掛け声に合わせてひらりと葉は落ち、
行き交う人々はお洒落な秋服とブーツ。
世界はすっかり変わっていた。
現実世界と交わるべく脳内を必死にアップデートしている私の恰好は、
入院前のままの夏満喫スタイル。
あまりの季節違いな恰好にとても恥ずかしかったことを覚えている。
付き添いの母が、「暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものね」と
ノースリーブの肩にそっとストールをかけてくれた。
秋へとアップデートを完了した脳内に、しっかりとその言葉は刻み込まれた。
だが、5年6年と年月が経ったころから「違和感」を感じ、
今や「ずれ」を感じるようになってきている。
10年前にショックを受けた程涼しくない…のだ。いやまだまだ暑い。
あれから10年という年月を重ね、あくまで個人の感覚と主観のみの
感想であることを協調し、ついでに共感してくださる同志を求めていることを
付け加えるが、『暑さ寒さも彼岸まで』はあと数十年の後には
「昔の話」になっていまうのではないだろうか。
実は確かなデーターを調べてみたこともある。
桜の開花もゆるりと早まっていたりと、たしかに日本の月間の平均気温は
行きつ戻りつしながらも上がってきているようだ。
もはや地球温暖化が日本の言い伝えを変えてしまう事は
間違いなさそうだと勝手に確信している2023年。
他にも「昔」になってしまうことわざや言い伝えはないか、
地道な研究は続けていこうと思っている。
タイトル:『
ことわざから読み解く天気予報」
著者:南 利幸
資料番号:61018702-6
請求記号:451.2ミ