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映画と小説のお得な関係

このところ、映画館で映画を見ることをささやかな趣味にしています。

映画館のいいところは何と言っても作品に没頭できる点でしょうか。スマホの電源を切り、肘掛けいすにゆったり腰かけてスクリーンと向き合う時間は何かとせわしない毎日の中で貴重な一時です。
それに映画館そのものの雰囲気も。ポップコーンの香りが漂うロビーや薄暗い劇場、袖すり合うも多生の縁というのか、たまたま同じ映画を見るために集まった見知らぬ人たち。エンドロールが終わった後にそんな人たちが三々五々立ち去っていく何とも言えない空気も妙に癖になります。
AmazonプライムやNetflixなどの動画配信サービスを使えば家にいながらにしていくらでも映画が見られる時代ですが、それでも映画館にはわざわざ足を運びたくなる魅力がある、と思います。

最近見た映画の中でこれは!という作品は、吉沢亮・横浜流星主演の「国宝」です。二人の鬼気迫るような演技に、三時間の長丁場もあっという間に感じました。周囲のお客さんの息を呑む音、うっとり漏らす溜息の音まで含めて素らしい体験でした。
その他にもホラー映画「近畿地方のある場所について」や、数ヶ月ほど前に小学生の娘と見に行ったアニメ映画「野生の島のロズ」も印象深い作品です。

実は、この三作品の共通点は「小説の原作があること」。
原作付きの映画は、文章と映像で二度楽しめるところがお得に感じてとりわけ好きです。小説を読んで膨らませたイメージを映像として見るのも良し、映画で語りきれなかった子細を文章に補ってもらうのも良し。どちらが先でも楽しめます。

2025年は、これからも原作付きの映画が続々と公開予されます。
『遠い山なみの光』『宝島』『盤上の向日葵』『爆弾』『火喰鳥を、喰う』などなど、邦画だけでもこれほどあって今から楽しみは尽きません。

そういえば、個人的には「国宝」に匹敵するほど面白かった映画が「教皇選挙」なのですが……原作はイギリスの作家ロバート・ハリスによる英語の小説。邦訳版はまだ出ないのでしょうか……。心待ちにしています。

今年公開の映画原作小説(一部)

国宝 上』 『国宝 下』吉田修一/著 朝日新聞社
近畿地方のある場所について』背筋/著 KADOKAWA
野生のロボット』ピーター・ブラウン/作・絵(「野生の島のロズ」原作)福音館書店
遠い山なみの光』カズオ・イシグロ/著 早川書房
宝島』真藤順丈/著 講談社
盤上の向日葵』柚月裕子/著 中央公論新社
爆弾』呉勝浩/著 講談社
火喰鳥を、喰う』原浩/著 KADOKAWA