「黒板アート」をご存知ですか?
文字通り、黒板にチョークやパステルで描いた画です。
少し前にはポカリス…のCMでも使われていました。様々なイベントでも展示され、
黒板アートは今や美術の1ジャンルとなっています。
実は稲城市の小学校では毎年、この黒板アートが、夏休み明けの教室の黒板に描かれ、
子供達へのサプライズプレゼントになっているのです!
描いているのは、稲城在住や縁のあるアーティストやクリエイター達。
全員が完全ボランティアで、担当する教室の黒板に子供達に向けて、思い思いの画を
描いていきます。そして2学期初めの登校日、宿題を抱えてやって来た子供達の前に、
黒板いっぱいに描かれた作品が広がるのです。
今年は若葉台小学校で行われ、東京MXTVや、東京新聞、毎日新聞等でも
取り上げられていたので、ご存知の方も多いかと思います。
この試みは、3年前、市内在住の画家、稲田善樹先生の発案、声かけにより、
第四小学校で始まりました。昨年は城山小学校、向陽台小学校、今年の若葉台小学校で4校目です。
描き手のアーティスト達の幅も広がり、駒沢女子大学の学生さんや、小学校の保護者グループ等、
様々な人が参加しています。かく言う筆者も、素人の有志枠で毎年参加させて頂いています。
黒板にチョークで描く…というと、子供時代に教室に落書きした思い出が蘇るのですが、
いざ黒板の前に立つと、まずその大きさに圧倒されます。そして描き始めると、学校の黒板は、
やはり絵を描く為には作られていない事を思い知らされるのです。
面は塗り辛いし、一度塗ったところに色を重ねようとすると前の色は落ちてしまうし、
チョークの粉は舞うし…。
また必然的に夏休み最後の数日を使って描くので、暑い最中の作業や通学になります。
そんな苦労の多い黒板アートですが、教室に入って来て、驚きや喜びの声をあげる
子供達の姿を見ると、全てが報われます!
アートに関心の無い子でも、普段見慣れた教室が、どこもちょっとした美術館に変身している
のに驚き、みんな目を輝かせて作品を見てくれるのです。また学校の計らいで保護者も見学出来た
ところでは、親子でアートを楽しむ姿が見られ、それはとても微笑ましい光景でした。
子供達が一通り楽しんだ後は、先生方が消して下さり、教室はいつもの姿に戻ります。
たった一日だけの儚い作品、というのもまた、黒板アートの醍醐味でしょうか。
(先生方、ありがとうございます。)
聞くと、2学期初日は、子供の自殺が一番多い日だそうです。アートを楽しむだけでなく、
"ある年のその日は学校が特別なところになっていた!"…という事が、子供達の心の中に
良い思い出となって残ってくれればいいな、と思うのです。
関心を持って下さった方は、図書館にて新聞の記事をご覧になって下さい。
(8月30日 東京·毎日新聞 朝刊)