タイトル:『平蔵の首』
著者:逢坂剛
資料コード:611505027(中央図書館所蔵)
請求記号:913.6/オ
3月末、賀状での年一回の挨拶だけで何十年も会っていなかった友人から電話がかかってきた。
近況について語り合うなか、ひょんなことからお互い池波正太郎氏のファンであることを知った。
私は二十代半ばから読み始めたのだが、その友人はなんと、中学生の頃からのファンだという。
何度も“鬼平犯科帳”を読み返し、“剣客商売”や“藤枝梅安”も大好きだという。
今も“鬼平犯科帳”文庫24巻のうち、23巻まで読んでもったいなくて
24巻を中々開けないのだそうだ。
私もどれも好きだが、最近読み返していないし、忘れていることも多い。
私も読み直そう、などと話す中、では逢坂剛氏が平蔵を書いているのを
知っているか、と聞かれ、恥ずかしながら知らない私。
先ずは、これをぜひ、と薦めてくれたのが、
“オール読物”の2020年5月号に没後30年企画で
中村吉右衛門氏と逢坂剛氏の対談である。
中村吉右衛門氏はテレビドラマや映画で鬼平犯科帳の主人公、
長谷川平蔵を30年近く演じていた方で、鬼平ファンにはたまらない。
逢坂氏のお父様が池波氏の小説の挿絵と描いていた話とか、
お二人の池波氏の思い出や平蔵に対する思いなど語っていて、
いいものを教えてもらった、と感謝している。
そして、“平蔵の首”を読んでみた。対談の中で逢坂氏が
「書いていていつも一番苦労するのは、池波さんの『鬼平』と
いかに離れるかということ。」とおっしゃっていた。
その通りに、知っている鬼平とは違うのだが、でもやはり、鬼平であり、
人を惹きつける魅力は変わらない。
どこが、違っているか、ご興味のある方はぜひご一読ください。
24巻の鬼平に戻るのは、逢坂氏の残り3冊、
“平蔵狩り”、“闇の平蔵“、“平蔵の母“ を読んでからにしよう。