書名:『サイコパス』
著者:中野信子
出版社:文藝春秋
請求記号:M491.6/ナ
中央図書館所蔵コード:611897698
自分の傍らにサイコパスな人がいたらと思うと、かなり厄介な状況であることは
疑いようがありません。そしてその可能性は多いにあるのです。
この本では100人に1人、日本の人口の割で計算すると120万人もいると
いうのです。その多さには驚くばかりです。そして私はどうかというと、
どう考えてもサイコパスの餌食となる側のほうに立ち位置があると思われます。
サイコパスというと映画「羊たちの沈黙」でのレクター博士をイメージしてしまいます。
知的能力が高く、善良な人々を惑わせ、顔色一つ変えず平然とかつ楽しむように残酷な
犯罪に手を染める、連続殺人鬼のイメージです。
サイコパスと認められる人全てが、犯罪者になるとは限らないとか。
確かに100人に1人という割でいるのですから世の中犯罪者が闊歩する物騒な世界と
なるはずが、表面上はそうでもない状況です。ただ、安心するのは早いのです。
「捕まりにくいサイコパス」は隣にいるのです。
彼らは道徳的判断には従わないが、自分が得するかどうかが重要なのです。
サイコパスの出現が遺伝子だけでなく、虐待などの環境によるものとするのには
哀れみを感じます。
サイコパスな人が長い人類の歴史の中で淘汰もされず、かといって繁栄を極めるでもなく、
ある割合で連綿と生き残ってきた理由に納得するものがあります。
彼らは何か新しいことに対し普通の人なら躊躇するところを一歩踏み出す能力が
あったからだというのです。なるほど常人とは異なるスタンスで考え行動することで、
人類の生存の可能性が増えたというのです。
取り上げられた人物の心のありかた、行動パターンを分かりやすく解説している
本書の著者 中野信子氏は、BSの歴史番組や昼の番組のコメンテーターとして
ご活躍中のまさに才色兼備の人です。
帯にその美しいお顔が写っていますので是非ご覧ください。