タイトル:『焚き火の本』
著者:猪野正哉
出版社:山と渓谷社
資料コード:612172087
請求記号:786/イ
新刊で図書館に入ってきたとき、装丁に目を奪われた本がある。
黒い装丁にただ炎がゆらめいているだけの本。
ただそれだけなのになんだか気になる、と思っていた。
その時は何に引き寄せられているのか漠然としすぎていて、
パラっとページをおくっただけで「黒い本」は通常業務の波に紛れていった。
だが数か月後にこんなに読み込むことになろうとは!
もともと家族からの熱い要望があったものの、
キャンプだとか焚き火だとか,BBQでさえも、用意してくれるなら
お付き合いしてもいいよーレベルの話で、我が腰は上がらず。
そんな私がアウトドアに乗り気になったきっかけは、
とある大人気キャンプアニメにハマってしまったからなのだが、
それも家族からの強いプッシュがあってのこと。
そんなこんなでキャンプに行くことになり、
焚き火に魅了されてしまったのである。
自分でもびっくりするほどに炎に魅せられてしまった。
どうやら炎には私にとって大切な何かがあったようだ。
そしてまたこの「黒い本」と再会し、この黒い装丁は
「漆黒の暗闇」だったのだと初めて気が付いた時の、以前とは違う
「焚き火を体感した自分」を誇らしくも思えた。
この本の表紙には、漆黒の暗闇の中で焚き火のパチパチと爆ぜる音、
火の粉が舞う様、辺りに香る癒しの木の香り、炎のゆらぎ、温かさ、
それらを感じるパワーがある事が今は分かる!
著者はメディアにも出ている焚き火マイスターの方なのだが、
この方の焚き火や自然に対するシンプルな考え方、心の置き方が心地よく、
また炎に魅せられている雰囲気がとてもよい。
とても大切な後片付けのこともしっかりと丁寧に説明してくれている。
不思議とその場を成立させてしまう焚き火の魅力、
多くの人に伝わってほしい。