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中央・iプラザ 9:00-20:00
第一~第四 10:00-17:00
*7月21日~8月31日 
 火~土曜日:9:00-18:00
 日曜日:9:00-17:00
 

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2018/03/06

伝統を継ぐ者

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者

今回訪れたのは武蔵野の小京都として栄えた埼玉県の小川町。格子組のある商家や土蔵が往時の面影を
とどめている趣のある町です。ユネスコ無形文化遺産登録の幟がたつ昭和レトロな建物に惹かれて入っ
た先は、和紙体験学習センターでした。庭先で水仕事をされている女性との出会いから貴重な紙すきの
話を伺うことができました。

紙漉き体験ができるこの建物は、昭和11年に和紙の研究施設として埼玉県製紙工業試験場として建設され、
大手製紙メーカーより博物館に所蔵したいと申し出があるほど歴史的な価値があるものだそうです。徳川
家康の関東入府で江戸の町は100万人を超える大都市となり小川町を中心とした一帯は紙の消費を一手に
引き受ける一大産地へと成長、産地全体で1500人ほどの労働者が紙漉き業に従事したと云われます。紙す
きの全工程や歴史の説明を受けながら、展示ケースの中身を指さした先に、偶然にも発見がありました。

【 いやだ いやだよ 紙すきや いやだ 夜づめ 早起き ひまがない ヨカコイ ヨカコイ … 
     はれた はれたよ 晴天晴れに ピッカリ 千両の 紙を干す ヨカコイ ヨカコイ  … 
     すいた もうけは かんだのように 問屋に しぼられる ヨカコイ ヨカコイ 】

「紙すき歌の全部の歌詞がこんなところにあったなんて!」

紙漉き職人の祖母が口ずさむ鼻歌を、幼少のころよく耳にしたそうです。歌詞をきちんと教えてもらって
おけばよかったと半ば諦めていたようで、思わぬ発見に気をよくした彼女に、紙すき歌を一節歌っていた
だきました。苦労して漉いた千両の価値がある紙も、その儲けはみな問屋に搾り取られるという内容の歌
です。真っ暗なうちから起きだし冷たい水を相手の作業を強いられた両手を見ながら育ったこともあり、
紙漉き業を引き継ぐことに若いころは正直躊躇があったそう。

「結局DNAなのかしらねぇ」

笑いながらトロロアオイの根を裂く作業に戻っていかれました。清々しい覚悟に触れる一時でした。

施設の庭にはトロロアオイが植えてあります。花オクラと呼ばれるトロロアオイは紙づくりにはとても
重要で、紙を漉くときに必要な粘り「ネリ」をその根を裂き、叩くことで取り出します。小川町立中学校
の3年生は、卒業式に自身で漉いた卒業証書を受け取るとのこと。素敵な恒例行事があるものです。
18:39