書名:どんぐりと山猫
著者名:宮沢賢治
請求記号:913/ミ/
資料コード:611796200
雲一つない澄み切った秋の青空を見ると、この作品を読み返したくなります。
主人公の一郎が見えない力に導かれ山猫の元へ到着するまでの山の秋の風景が脳裏に浮かび、幼い頃に外で遊んだ時の感覚が蘇ります。滝やきのこと話しができる....そういう、あり得ない何かを求め、出会うことに期待して、外へ遊びに行っていたのだろうなぁと思う。実際、魔法使いになりたくて箒にまたがり、一生懸命飛ぶ練習をしたりしていました...あの頃が懐かしい。
一郎は山猫に長く続く面倒な裁判をおさめるために呼ばれたのですが、「このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらい」という一言であっさり解決します。
このメッセージ深いなぁと思う。
「いちばんえらい」人が大切にしていることって何だろう。
一郎の言葉にシンとしてしまった団栗たちの思いを想像したり、山猫と一郎のやり取りから、ついつい哲学したくなってしまう、秋の夜長に読んでいただきたい一冊です。