タイトル:クララ・シューマン/愛の協奏曲
監督:ヘルマ・サンダース・ブラームス
出版社:アルバトロス
出版年:2009年
請求記号:D7BF/ク
資料コード:630164501
今年はクララ・シューマン生誕200年にあたることもあるのか、
先日行った演奏会でシューマンの「ピアノ協奏曲」を聴いた。
初めて聞く曲だったが、メロディが美しくとても親しみやすい曲で
すっかり魅了された。
この映画は、シューマンの「ピアノ協奏曲」を
クララ・シューマンが演奏しているところから始まる。
そして、クララ・シューマンが演奏家として大人気となっていること、
作曲家としてすでに名声を得ている夫のロベルト・シューマンが
音楽監督としてデュッセルドルフに迎えられたため、
たくさんの子供を抱えて演奏旅行に奔走することない生活が
始められるようになったことが描かれる。
実は、夫婦にとって金銭面でも恵まれた状況になって
幸せな日々が送れるようになったこの頃、
ロベルト・シューマンはすでに幻聴にさいなまれ始めていた。
そんな折、夫婦は若きヨハネス・ブラームスと出会う。
すぐにブラームスに天賦の才能を見出した彼らは、
自宅にブラームスを住まわせるだけでなく、
ブラームスを各方面で称賛し、
ブラームスの音楽家としての地位が確立するのを助けた。
また、ブラームスもシューマン夫婦に深い敬意を持っており、
両者の親交はロベルト・シューマンが病院に行った後も、
彼の死後も続いていった。
この映画で監督をしたヘルマ・サンダース・ブラームスは
ブラームスの末裔にあたることもあって、
やや “ブラームス押し(?)” なのか、
若きブラームスは粗野でチャーミングで、子供好きな好青年だ。
小学校時代に見た音楽室の壁の肖像画
― ひげを蓄え、少し眉間にしわを寄せた気難しそうなおじさん ―
のイメージとはずいぶん異なる。
精神疾患のために麻薬が手放せなくなっていくロベルトと
それを支えるクララの姿を見るのはつらいが、
全編にわたってロベルト・シューマン、クララ・シューマン、
ブラームスの曲が聴けるのは収穫だ。
そして、最後のシーンでクララが演奏するのは
ブラームスの「ピアノ協奏曲」。
以前からブラームスの曲はどれも大好きだが、
このシーンとともに聴くこの曲はこれからも忘れられない曲となるだろう。