中央図書館建設運営計画
市立図書館庶務係 電話:042-377-2123
1.事業概要
調査の背景と目的
(仮称)稲城市立中央図書館等建設事業は,稲城市における生涯学習推進を担う新たな施設として,現在市内にある4箇所の図書館の中央館機能と体験型学習の拠点として整備を行うものである。当該事業の実現に向けた具体的な取り組みとして平成15年1月に稲城市立図書館協議会による基本方針答申,同2月に基本計画調査がまとめられた。開設は平成18年を目指している。
本調査は,本事業にPFI方式を導入する場合の条件・課題を整理するとともに,望ましい事業方式を構築すること,さらに従来方式とPFI方式における稲城市の財政負担を比較し、PFI方式の導入可能性を検討することを目的とした。
整備施設
- 中央図書館:図書館法に基づく公立図書館3,000平方メートル程度(喫茶室約60平方メートル含む)
- 駐車場50台、駐輪場30台
- 公園施設:都市公園法に基づく公園施設(国庫補助対象)※但しPFI事業対象外
2.PFI導入のポイント
図書館運営業務の公・民役割分担
公共図書館は社会教育法において「社会教育のための機関とする」と定められている。社会教育施設としての位置づけから、図書館運営の全てをPFI事業者に委ねることは適切ではなく、基幹的な業務については市が主体となって運営する。
<市の役割>
各種サービスの方針決定、規則の策定、購入図書・資料の決定、各種団体・ボランティア等との連絡・調整等
<PFI事業者の役割>
窓口業務、図書登録・資料管理、システム調達及び管理(分館含む)、購入図書の提案作成、サービス内容の企画提案、備品管理等
運営業務においてPFI方式が有する利点
公図書館運営業務において従来型の委託方式に比べてPFI方式が有する利点は以下の通りである。
- 従来型の委託の場合は、各委託業務を個別に単年度契約しているのに対して、PFI方式の場合はこれらの業務を一括して1事業者(グループ企業が出資するSPC)と長期契約する。これによりPFI事業者は長期的視点で投資計画、運営計画、社員教育プログラム等を行うことが可能となり、結果として従来型より効率的かつ水準の高いサービスの提供が可能となる。
- 従来型の委託の場合は、市からの詳細な委託仕様、指示に従ってサービスの提供がなされるものであるのに対して、PFI方式の場合は事業契約に性能水準を規定し、その性能水準を達成するための具体的な方法についてはPFI事業者に一定の裁量権を持たせること(以下「性能発注」と言う。)で、PFI事業者は自らのノウハウを最大限に活かしてサービスの提供ができる。
- PFI事業契約では、サービス水準が適切に保たれているかどうかの基準を詳細かつ明確に定めたうえで、提供されたサービスが要求した水準に満たない場合は、契約で定めた手順に従い是正措置を求め、是正が認められない場合はサービス対価の減額を行うことを規定する。また、利用者数が当初予想以上に増加し要求水準を維持するための費用の増加が明らかな場合には、市はサービス対価にボーナスを上乗せするなどの措置を付与することで、PFI事業者が規定のサービス水準以上のサービスを提供しようという意欲を喚起させることも可能である。
3.事業の仕組み(スキーム)
事業のしくみ
本事業をPFI事業として行う場合の施設所有形態は、施設竣工後ただちに市に所有権を移転するBTO(Build Transfer Operate)方式とし、事業期間は設計・建設期間の約2年と運営開始後20年間の計22年とする。
また、公共関与の形態としてはPFI事業者が資金調達を行い、施設の設計、施工、維持管理及び運営を行い、市がそれらサービスに対する対価を支払うサービス購入型となる。
4.VFMの検討
検討結果

稲城市の財政負担見込額の算定を行った結果、本事業をPFI事業として実施する場合、本市が自ら実施する場合と比べて、事業期間を通じた市の財政負担額が6~7パーセント程度縮減できると見込めた。
VFMの算定方法は、事業期間における従来方式(直営)の場合の市の負担額の総合計と、PFI方式の場合の市の負担額の総合計を、現在価値に換算し比較することで行った。
5.評価
定性的評価
- 施設の設計、建設、維持管理及び運営を一括発注・性能発注することにより、民間事業者の経営能力、技術力、経験等が十分に発揮され、効果的かつ効率的な事業実施が可能。
- 要求水準書に基づく定期的なモニタリングにより、安定的サービス水準の確保を図れる。
- 施設の設計、建設、維持管理等といった一連の業務に要する財政負担を割賦支払い及びサービス支払いという形で平準化して支払うことができ、初期投資を大幅に軽減出来る。
- 効率的な職員配置、最先端技術の導入、図書等の迅速な提供、PFI事業者独自の付帯サービス提供の可能性、分館運営のサービス向上・効率化など、PFI導入によるサービスの向上が見込まれる。
PFI導入によって期待されるサービス向上の例
- PFI事業者は柔軟な職員雇用が可能なことから、開館日数の増加や開館時間の延長等が比較的容易であり、予想される利用者数等に応じた効率的な職員配置が可能となる。
- 最先端技術による効率的な蔵書検索、貸し出しシステムの導入等が期待される。
例)閉架書庫の自動化、自動貸出機の設置等 - 図書流通業者等の直接関与による図書・資料の迅速な提供が可能となる。
例)新刊図書の1週間以内の納入等(現状は3~4週間) - 市の直営では困難なPFI事業者独自の付帯的サービス提供の可能性がある。
例)図書のインターネット販売端末の設置、図書の宅配、ライブラリグッズの販売 - 他の分館への効率化やサービスアップなどの波及効果が期待される。
例)分館も含めたシステム更新・メンテナンス、図書交換連絡の効率化等
総合評価
定量的評価及び定性的評価の結果,本事業はPFI事業として行うことが適当と判断できる。